大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 平成12年(行ケ)118号 判決 2000年10月30日

原告

中環股・有限公司

代表者

訴訟代理人弁理士

被告

特許庁長官C

指定代理人

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。

事実及び理由

第1当事者の求めた裁判

1  原告

特許庁が平成11年審判第8043号事件について平成11年12月17日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

2  被告

主文と同旨

第2当事者間に争いのない事実

1  特許庁における手続の経緯

原告は、第9類に属する商品を指定商品とし「MR.DATA」の欧文字とその左上にシルクハット状の図形を配して成る商標(平成9年7月17日登録出願、商願平9-140222号。以下「本願商標」という。)につき商標登録出願をしたが、平成11年3月5日、拒絶査定を受け、同年5月6日、これに対する審判を請求するとともに、指定商品を「CD-R, DVD-R, DVD-RAM(記録済みのものを除く)」に減縮する補正をした。特許庁は、同請求を平成11年審判第8043号事件として審理した結果、平成11年12月17日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、平成12年1月11日、原告に送達された。

2  審決の理由

審決の理由は、本願商標が、指定商品を第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」とし「ミスターデータ」の片仮名文字から成る登録第2116882号商標(昭和57年6月30日登録出願、平成元年2月21日設定登録、平成10年11月24日存続期間更新登録、以下「引用商標」という。)に類似し、商標法4条1項11号に該当するというものである。

第3原告主張の審決取消事由

引用商標は、現在まで継続して3年以上使用をされている可能性が低い。そのため、原告は、本件訴訟を提起した後、引用商標について速やかに商標法50条による商標登録取消審判を請求する用意がある。その取消審決により引用商標の登録が取り消されると、本願商標は、商標法4条1項11号に該当しなくなるから、審決は違法として取り消されるべきである。

第4被告の反論

審決の違法性判断の基準時は審決のされた時点と解すべきであり、その後に生じた事由は審決の適法性に影響を及ぼすものではない。また、引用商標について商標法50条による取消審決がされ、その確定により商標登録が抹消されたとしても、その効果は、商標権が登録商標不使用取消の審判請求の登録日に消滅したものとみなされるにすぎないから、この点においても、審決の適法性は影響を受けない。

第5当裁判所の判断

原告主張の審決取消事由は、原告が引用商標について商標法50条による商標登録取消審判を請求する用意があるというものにすぎず、原告が実際に引用商標につき上記取消審判を請求したというものではなく、また、その請求に基づいて取消審決がされたというものでもないのであって、何ら本件審決の適法性に影響を及ぼすものではない。したがって、原告主張の審決取消事由は理由がなく、他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。

よって、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担並びに上告及び上告受理申立てのための付加期間の付与につき行政事件訴訟法7条、民訴法61条、96条2項を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 篠原勝美 裁判官 長沢幸男 裁判官 宮坂昌利)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例